SI費とは何か?システムインテグレーション費用の相場・内訳・抑えるポイント

公開日:2025/12/23 更新日:2026/01/19
  • Web開発
  • アプリ開発

SI費とは何か?システムインテグレーション費用の相場・内訳・抑えるポイント

公開日:2025/12/23 更新日:2026/01/19
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はじめに

システム導入や刷新を検討する際、最初に直面するのが「SI費(システムインテグレーション費用)」という専門用語です。
しかし、その正確な中身や費用感、コスト決定の背景までを理解している担当者は意外と限られています。SI費は単なる「システム開発費」とは異なり、プロジェクトの企画から設計、構築、そして稼働後の運用・保守まで実に多岐にわたるプロセスを包括しています。
このためIT投資において最重要でありながら誤解も多い費目となっています。
最近では、IT化の進展やクラウド利用の定着によって、SI費の内訳や金額がさらに複雑かつ高額化しやすくなっています。例えば、「なぜ開発費がこんなに膨らむのか」といった疑問や「最初の見積もりより予算が大幅に増えた」というトラブルは珍しくありません。これを防ぐには、SI費の構造や決定プロセスを理解したうえで意思決定することが不可欠です。
この記事では、SI費の定義や代表的な内訳・相場、発生しやすい隠れコストからコストを抑えるための実践的なポイント、さらには「ベンダー選定」や「契約方式」による違いまで、現場担当者の視点で詳しく解説します。最後まで読めば、SI費への理解が格段に深まり、次のプロジェクトを自信を持って進められるはずです。

SI費とは?

SI費の基本的な意味

SI費とは、システムの企画・設計・開発・導入・保守・運用まで、幅広い工程で発生する総合的な費用です。

近年はクラウド技術や外部サービスとの連携が当たり前になり、多層アーキテクチャ(複数のシステム層を分けた複雑な構造)の採用やデータ連携時のセキュリティ審査など、以前は想定していなかった追加コストが発生しやすくなっています。

SI費に含まれる主な工程は次のとおりです。

  • 業務分析・要件定義
    現場ヒアリング、既存業務の棚卸し、課題(ペインポイント)の特定
  • 基本設計・詳細設計
    画面設計、DB設計、機能仕様書の作成
  • プログラム開発
    コーディング、外部API組み込み
  • テスト(結合・総合・UAT)
    自動化テストの検討、ユーザー視点での動作確認
  • データ移行・本番移行
    データ整形、移行リハーサル、夜間作業などの割増要因
  • 保守・運用支援
    障害監視、法改正対応、追加機能要望への対応
  • プロジェクト管理・品質管理
    定例会議、進捗/品質管理、リスクコントロール
  • ミドルウェア・ライセンス費
    SQL Server、OracleなどのDBや運用コスト
  • クラウド・インフラ費用
    AWS / GCP / Azure の利用料や従量課金の最適化提案

つまり、SI費とは 「システムに関わるあらゆるコストを可視化した総額」 であり、これを正しく理解することは IT 投資の成否を大きく左右します。

近年は、オンプレミスからクラウドへの移行、複雑な API 連携、データ統合、セキュリティ要件の高度化などによって、SI費の範囲や金額が膨らみやすくなっている点にも注意が必要です。ここを誤解したままプロジェクトを進めると、見積もりとの差が大きくなり、「予算が2倍になった」 といった事態も珍しくありません。

SI費に含まれる主な内訳

人件費・開発費

SI費の中で最も大きな割合を占めるのが、人件費と開発費です。システム開発は多くの専門家が協力して進める「知識集約型労働」であるため、人的コストは非常に高くなります。

関わる主な職種には、プロジェクトマネージャー(PM)、プロジェクトリーダー(PL)、システムエンジニア(SE)、アプリケーションエンジニア、インフラエンジニア、UI/UXデザイナー、テストエンジニア、データベースエンジニア、クラウドアーキテクト、品質管理(QA)担当者などがあります。

各職種の人月単価は一般的に以下のようになります。

役割 一般的な人月単価
PM(上級) 100〜180万円
PL(リーダー) 80〜150万円
SE(中級) 70〜120万円
PG(初級) 60〜100万円

各職種の人月単価は、業界や技術領域、企業規模によって変動しますが、一般的な一例として上記のような価格帯が挙げられます。(参考:CREX 人月単価相場)

また、開発費には、コーディングや画面UI作成、データベース構築、API連携、バッチ処理の実装、クラウド環境構築や外部サービスの認証設定などが含まれます。特に近年は、外部SaaSとの連携が不可欠となり、APIの仕様変更やデータ形式の調整に多くの時間が割かれるため、開発費が増えやすい傾向があります。

保守・運用費およびライセンス関連費

システムは構築して終わりではなく、本番稼働後も継続的な保守や改善が必要です。

保守・運用には障害対応やサーバー監視、セキュリティアップデート、法改正対応、パフォーマンス改善、バグ修正、操作方法の問い合わせ対応などが含まれます。

以下のようなクラウドやライセンス費用も無視できません。

  • AWS・GCP・Azure などのクラウド費用(毎月発生)
  • Salesforce などのSaaSライセンス
  • ミドルウェア(Oracle, SQL Server 等)
  • アプリケーション監視ツール(Datadog, New Relic等)

クラウドは従量課金が主流であり、アクセス増・データ量増・バックアップ頻度などにより月額費用が急増することがあります。設計段階で想定利用量をベースに料金シミュレーション(例:AWS のコスト見積もりツール)を行い、オートスケールやコストガバナンス(課金アラート、タグ付け)を設計に組み込みましょう。

SI費が高額になりやすい理由

要件の複雑化と人件費の高騰

近年、SI費が高騰する最大の理由は要件の高度化です。

企業が求めるシステム要件は以下のように年々複雑になっています。

  • マルチデバイス対応(PC, スマホ, タブレット)
  • 外部SaaSとの連携(CRM, MA, ERP 等)
  • セキュリティ要件の強化(ゼロトラスト、MFA等)
  • 大容量データ処理(ビッグデータ)
  • 高可用性(24時間365日止められないシステム)
  • クラウドネイティブへの対応
  • UI/UXのリッチ化

要件が複雑になると、設計書の厚みが増し、テストケースの数も増加します。

また、外部システムの仕様調査や想定外の連携障害への対応、全体整合性チェックに時間がかかることも多く、開発期間が延びることで結果的にSI費が膨らみます。

テスト工程の肥大化

SI費を押し上げるもう一つの大きな要因が テスト工程 です。

特に大規模システムでは、開発よりもテスト工程に工数がかかるケースが増えています。

テスト工程には以下の種類があります。

  • 単体テスト
  • 結合テスト
  • 総合テスト
  • UAT(ユーザー受け入れテスト)
  • 性能・負荷テスト
  • セキュリティテスト

たとえば業務フローの一部を変更するだけでも、前後の全体テストが必要になるケースがあります。

そのため、開発工数よりテスト工数が多くなり、テスト環境の準備や障害修正による再テストも発生し、費用が膨らむのです。

データ移行・本番移行の隠れコスト

多くの企業が最も見落とすのが データ移行本番移行 のコストです。

データ移行には以下の作業が含まれます。

  • 既存システムのデータ分析
  • 欠損値・不整合の調査
  • データクレンジング
  • データマッピング
  • ETL処理(データの抽出・変換・書き出し作業)の作成
  • 移行リハーサル
  • 本番移行(深夜・休日対応)

特にレガシーシステムからの移行では、仕様が不明、データ形式が統一されていない、重複や不整合データが多いなどの問題が発生し、想定以上に工数が増えることがあります。

本番移行は夜間対応になることが多いため、人件費も割増になります。

SI費を削減するポイント

要件定義の精度を高める

SI費を削減する最も重要なポイントは、要件定義の質を高めること です。

要件が曖昧なまま開発を進めると、仕様変更やプロジェクト期間の延長によって追加費用が発生します。

また、一度に全てを開発せず、まずはMVP(Minimum Viable Product:実用最小限の機能を持つ製品)として必要な機能を絞り込み、着実に開発を進めることもコスト抑制に効果的です。

  • 実際の業務の流れを詳細にヒアリング
  • 現場担当者とPMが直接対話
  • 必須要件と「やりたいだけの要望」を明確に分離
  • ワークフロー図を作成
  • 画面モック(Figma等)でUIを可視化
  • 非機能要件(性能・可用性・セキュリティ)を明確化

要件が明確であればあるほど、開発のブレがなくなりSI費は最適化されます。

自社開発をしている会社を選ぶ

実際の開発を別の会社に再委託(外注)するのではなく、社内にエンジニアが在籍し、直接開発を行う会社を選びましょう。 中間マージン(仲介手数料)をカットできるだけでなく、エンジニアと直接コミュニケーションが取れるため、意思疎通のミスによる余計な追加費用の発生も防げます。

外注する作業の範囲を確認する

すべての作業を開発会社に丸投げするのではなく、自社で対応できる範囲を切り分けることでコストを抑えられます。 例えば、「操作マニュアルの作成」「既存データの整理」「社内向けの研修」などは自社で分担可能です。見積もり前に「どこまでを自社で担うか」を整理し、エンジニアの工数を最適化しましょう。

ベンダー比較と相見積もり

SI費の最適化には、複数ベンダーによる比較(相見積もり) が欠かせません。

比較ポイントは以下です。

  • 提案内容の粒度(どこまで深く理解して提案しているか)
  • 要件定義の進め方
  • プロジェクト管理能力(体制・ツール)
  • 過去の類似実績
  • 工数の根拠の明確さ
  • 契約形態の違い(準委任契約 or 請負契約)
  • 保守費用の明確さ

企業によっては、安く見せるために「後から追加費用」を多発させるベンダーもいるため、見積書の内訳を詳細に確認することが重要です。

クラウドサービスの活用

近年、多くの企業がクラウドSaaSの利用によってSI費を大幅に削減しています。

たとえば以下のようなものが挙げられます。

  • 勤怠管理:SmartHR
  • CRM:Salesforce
  • MA:HubSpot
  • 会計:freee, マネーフォワード クラウド
  • EC:Shopify

既存サービスを利用することで初期開発の大半が不要になり、保守コストやサーバー管理の負担も減少します。

もちろん「自社専用の業務システム」が必要な場面もありますが、クラウドを併用することで全体コストを大きく下げられます。

まとめ

SI費とは、システム導入に関わる すべての工程を包括する総合費用 です。要件定義・設計・開発・テスト・データ移行・本番移行・保守運用・プロジェクト管理など、多岐にわたるプロセスが含まれます。

そのため、単に「開発費が高い」と捉えるのではなく、どの工程にどれだけの工数がかかり、なぜコストが発生しているのか を理解することが重要です。

また、SI費を最適化するには、

  • 要件定義の精度向上
  • クラウドサービスの積極活用
  • ベンダー比較
  • 契約方式の理解
  • データ移行・テストの正確な見積もり

といったポイントを押さえる必要があります。

正しい知識と適切な意思決定があれば、SI費の無駄な増加を防ぎ、企業にとって本当に価値のあるシステムを構築することが可能です。

 
 
 
 

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