ローコード開発の費用はいくら?ツール別比較とコストを抑えるポイントを徹底解説!
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はじめに
本記事では、ローコード開発にかかる費用の構造を細かく分解し、主要ツールの比較、導入企業が実践しているコスト最適化の方法まで、実例を交えながら徹底的に解説します。
DX担当者・情報システム部門・業務改善担当者の方が「失敗せず導入するための判断材料」を得られるよう、幅広い視点でまとめています。
目次
ローコード開発とは?基本概念と注目される背景
ローコード開発の定義と特徴
ローコード開発とは、コード記述量を最小限に抑え、GUIベースのドラッグ&ドロップ操作やテンプレート機能を活用してアプリを高速に構築できる手法です。プログラミング経験が少ない業務担当者でも扱える点が特徴で、エンジニアがゼロからコードを書く必要はありません。
【代表的な特徴】
- 部品化されたコンポーネントを配置するだけで画面・機能を作れる
- フォーム・一覧画面・ワークフローなどの基本機能が標準搭載
- API接続による外部システム連携が容易
- 要件変更に強く、柔軟な修正が可能
これにより、開発スピードが従来比で数倍向上するケースも多く、プロトタイプ作成や修正が迅速に行えます。
【メリット】
- プロトタイプ構築が容易で、業務側との認識合わせがスムーズ
- アジャイル開発との相性が良い
- 現場で頻繁に発生する要件変更に素早く対応可能
【代表的な活用例】
- 営業日報・案件管理ツール
- 在庫管理・棚卸しシステム
- 顧客問い合わせ対応アプリ
- ワークフロー承認アプリ
- バックオフィス業務効率化ツール
- 店舗管理アプリ
- 社内ポータルサイト
これらのアプリは、従来のスクラッチ開発では数百万円規模の費用がかかるケースが多いですが、ローコードを利用すれば、小規模であれば数十万円〜、中規模以上は数百万円〜で構築できる場合があります。
なぜ今、企業がローコードを導入しているのか?
ローコード開発が急速に普及している背景には、企業のIT環境・市場環境の大きな変化があります。特に大きな要因は次の4つです。
① 開発人材不足の深刻化
経産省が公開した「IT人材需給予測」によると、2030年には最大79万人のIT人材が不足すると言われています。
外注開発自体が年々高騰し、専任エンジニアの採用も難易度が上がる中、「業務部門主体で扱えるローコード」は、企業の有力な選択肢として急浮上しています。
② 情報システム部門の負荷増大
企業内におけるITシステムは複雑化し、情報システム部門(いわゆる「情シス」)は以下のような課題に直面しています。
- 既存システム保守だけでリソースが埋まってしまう
- 業務部門からの改善要望が増加
- DX推進のプレッシャーが強い
- セキュリティ管理やクラウド管理も担当する必要がある
このように、情シスがすべてを抱え込む旧来モデルは崩壊しつつあります。
③ 業務の変化に迅速に対応できる
現代のビジネス環境では、業務プロセスが短期間で変化するため、システムも同じスピード感で更新する必要があります。ローコードであれば、
- 入力項目の追加
- 承認フローの変更
- 外部サービスとの連携
- UIの微調整
などを業務担当者が即座に反映でき、改善サイクルの高速化につながります。
④ 内製化・シチズンデベロッパーの育成
ローコードの導入により、業務部門が主体となりアプリ開発を行う「シチズンデベロッパー」の育成が進み、企業内のデジタル対応力が飛躍的に向上します。
ローコード開発のデメリット・注意点
ローコード開発は多くのメリットを持つ一方で、万能な手法ではありません。導入前に以下の点を理解しておくことが重要です。
① 非常に大規模・複雑な業務ロジックには不向きな場合がある
基幹システムや独自仕様が多い業務では、スクラッチ開発の方が適するケースもあります。
② プラットフォーム依存が発生する
ツール固有の機能や設計思想に依存するため、将来的に別ツールへ移行する際には追加コストが発生する可能性があります。
③ 設計ルールがないとアプリが乱立しやすい
業務部門主体で開発できる反面、命名規則や権限設計を定めないと、保守性が低下する恐れがあります。
これらのリスクは、対象業務の選定と最低限のガバナンス設計を行うことで、多くの場合コントロール可能です。
その上で導入を進めることで、ローコード開発の費用対効果を最大化できます。
ローコード開発にはどんな費用がかかるのか?
ローコード開発の費用は「初期費用」「月額費」「運用保守」「追加開発」の4つで構成されます。それぞれを詳しく見ていきましょう。
初期費用(導入・設定・教育費)
初期費用には次のような項目が含まれます。
- 利用環境の構築
- 権限設定・セキュリティ設定
- 初期データ移行
- 各種テンプレート設定
- 業務プロセスの可視化
- 利用者向けの教育・研修
小規模プロジェクトでは数万円〜数十万円程度で導入可能ですが、要件が複雑な場合や外部コンサルティング支援を受ける場合は、100〜300万円ほどかかるケースもあります。
データ項目が多い、承認フローが複雑、外部システム連携が多数ある場合は初期設定に時間がかかり、費用も増加します。要件定義で業務プロセスの見直しを行う場合は、追加コンサル費用も発生するため注意が必要です。
月額費・ライセンス費用
ローコードツールはサブスクリプションモデルが主流で、ツールごとに課金方式が異なります。
代表的な課金方式
| 課金方式 | 例 | 特徴 |
|---|---|---|
| ユーザー課金型 | Power Apps | 利用人数が増えるとコスト増 |
| アプリ数課金型 | Kintone | 作成アプリ数が増えると費用増 |
| 環境課金型 | OutSystems、Mendix | システム規模やサーバーリソースに応じ変動 |
代表的な料金例(2025年時点概算)
| ツール | 月額料金(税抜) | 備考 |
|---|---|---|
| Power Apps | 1,799〜2,998円/ユーザー | Microsoft 365連携が強み |
| Kintone | 1,000〜3,000円/ユーザー | 中小企業で人気、アプリ作成が簡単 |
| OutSystems | 数万円〜約45〜46万円/月 | 商用プランは年額36,300ドル(約550万円)〜。小規模クラウド環境は月額数万円台から |
| Mendix | 数万円〜 | 大規模開発向き、モデル駆動開発・DevOps統合 |
※金額はツール公式情報・為替換算に基づく概算です。
特に大規模開発向けのツールは、ユーザー数や実行環境数、APIコール量などによって料金が変動しやすいため、事前にシミュレーションが必要です。
運用・保守・追加開発費
導入後の運用コストは、ローコード開発の「見落とされがちなポイント」です。
【運用で発生する主な項目】
- アプリの不具合対応
- UIの改善
- 業務変更に伴う改修
- データのバックアップ・管理
- 外部サービスのAPI更新対応
- 権限管理やセキュリティ対応
自社内で内製化できればランニングコストは抑えられますが、外部ベンダーに運用委託すると月額5〜20万円程度の保守費が発生するケースが一般的です。
また、追加機能の開発費用の目安は以下です。
| 規模 | 費用目安 |
|---|---|
| 小規模 | 5〜20万円 |
| 中規模 | 20〜80万円 |
| 大規模 | 100万円〜 |
※保守費にどこまで含まれるかを事前に明確化することが重要です。
主要なローコードツールと費用比較
ローコードツールは「中小企業向け」「大規模・基幹系向け」で適した製品が明確に分かれます。
単純な料金比較ではなく、拡張性・運用体制・将来のスケールを前提に選定することが重要です。
代表的なツールと特徴
①Power Apps(Microsoft)
- Microsoft 365との高い互換性
- SharePointやTeamsと連携しやすい
- 既存Officeユーザーに導入ハードルが低い
- 料金:1ユーザーあたり月額約1,799〜2,998円(税抜、年払い)
特にバックオフィス業務改善や営業支援ツールで強みを発揮します。
②Kintone(サイボウズ)
- 中小企業で導入率が高い日本発SaaS
- アプリ作成が非常に簡単で、現場主導の改善と相性が良い
- 拡張プラグイン・外部サービス連携も豊富
- 料金:1ユーザー月額1,000円(ライト)〜3,000円(ワイド)。標準的な中小企業では1,800円のスタンダードコースが主流。
業務可視化、情報共有、ワークフロー管理の用途で人気があります。
③OutSystems/Mendix
- 大規模システム構築向け
- モバイル・Webともに本格的なアプリを構築可能
- テンプレート、モデル駆動開発、DevOpsまで統合
- 料金:小規模環境では無料プランや月額数万円台から利用可能。OutSystemsの商用利用プランは年額36,300ドル(約550万円)〜で、月額換算約7万円程度から。本格的な企業導入では月額30万円以上となるケースも。
スクラッチ開発の代替となるほどの柔軟性があり、企業の基幹業務にも採用されています。
費用以外に見るべき比較ポイント
料金だけでツールを決めるのは危険です。特に以下の観点は企業規模・業種によって重要度が大きく異なります。
① API連携の柔軟性
- 外部データを多用する
- 他システムと多数連携させる
- データ更新頻度が高い
といった場合は、API管理機能が豊富なツールを選ぶ必要があります。
② 運用サポート体制
- 日本語サポートの有無
- コミュニティの充実度
- ドキュメントの品質
- ベンダーの問い合わせ対応速度
サポートが弱いツールは、運用段階で手戻りが発生しやすく、継続費用にも影響します。
③ セキュリティ・コンプライアンス対応
医療・金融・公共などの領域では、セキュリティ基準が導入可否に直結します。
- データ暗号化
- 監査ログ
- SSO対応
- ISMS/FISCなどの準拠
これらが不足している場合、後から追加のセキュリティ対策が必要となり費用が増大します。
ローコード開発の費用を抑える3つのポイント
ローコード導入を成功させる企業が共通して実践している「コスト最適化」のポイントを紹介します。
1. スモールスタートで実証する
ローコードは、全社一斉導入ではなく「限定範囲での検証導入」から始める方が、失敗リスクとコストを大きく抑えられます。
まずは特定部署・特定業務でパイロット導入を行うことで、次のような効果が得られます。
- コストを最小限に抑えられる
- 現場のニーズを正しく把握できる
- 経営層への説明材料になる
- アプリ活用の成功事例を早期に構築できる
特にROI(投資対効果)を早期に示せると、追加投資の承認も得やすくなります。
2. 内製化と教育への投資
ローコードのコスト削減効果を最大化するには、「社内で継続的に使いこなせる人材」を育てることが不可欠です。
ツールを導入しても、開発や改修を外部に依存し続ければコストは下がりません。以下のような取り組みを通じて、業務部門主体の内製体制を整えることが重要です。
- 社内勉強会の実施
- 操作マニュアルの作成
- シチズンデベロッパー育成プログラム
- 小規模プロジェクトでの実践
これにより、外部に依頼しなくても
- 小さな機能追加
- データ構造の修正
- 新規アプリの作成
- 部署内での効率改善
を業務部門主体で行えるようになります。
結果として年間の外注費を大幅に削減できます。
3. 契約プランを最適化する
ローコードツールは、利用範囲の拡大に比例してコストが増えやすいため、契約内容の定期的な見直しが欠かせません。
特にユーザー数やアプリ数が増えると、想定以上に費用が膨らむケースがあります。次のような最適化施策が効果的です。
- 利用していないアカウントの整理
- 重要でないアプリを統合してアプリ数削減
- ミニマムプランから開始して段階的に拡張
- ユーザー権限を適切に設定して無駄な編集権限を削減
- 年間契約割引の活用
特に年間契約は月額契約より 10〜20% のコスト削減につながる場合があります。
費用を正しく理解してローコード導入を成功させる
費用構造の透明化が成功のカギ
ローコード導入を成功させる最大のポイントは、初期費用だけで判断せず、運用・拡張まで含めた費用構造を事前に可視化することです。
ローコード開発では、導入初期のコストが低く見える一方で、運用フェーズやアプリ拡張によって費用が膨らむケースが少なくありません。よくある失敗例としては、
- 初期費用のみで導入判断をしてしまう
- ランニングコストを十分に見積もらない
- 内製化できる作業まで外注してしまう
- アプリ増築によりライセンス費が想定以上に増える
といった点が挙げられます。
一方、成功している企業は次の点を徹底しています。
- 初期費用・運用費・追加開発費を明確に区分
- ライセンスや内製化・外部委託のバランスを最適化
- 長期的なコストシミュレーションを実施
費用構造を事前に整理することで、想定外のコスト増加を防ぎ、安定した運用につなげることができます。
長期的な視点でROIを最大化する
ローコード開発は単なるコスト削減ではなく、業務スピードや生産性を向上させる投資です。導入効果は必ずしも金額だけで測れるものではありませんが、実際には次のような成果が期待できます。
- 承認フローの短縮
- 現場作業のミス削減
- 情報共有の効率化
- 顧客対応品質の向上
- 手作業の自動化による社員の時間創出
これらの効果を最大化するためには、
- 小さく始めて改善サイクルを回す
- 内製化を進めて運用負荷を下げる
- 業務変更に強い設計を行う
- 利用状況に応じて契約内容を定期的に見直す
といった取り組みが不可欠です。短期的な費用だけに目を向けず、長期的な視点で運用を続けることが成功の鍵となります。
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