金融システム開発の外注完全ガイド|金融システムとは?失敗しない委託のポイントを徹底解説
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はじめに
金融システムは、高い信頼性・大量データ処理・強固なセキュリティ・複雑な業務ロジックが求められるため、開発難易度が非常に高い領域です。障害発生時の影響範囲も大きく、要件の曖昧さや仕様変更の遅れ、業務部門との調整不足が致命的なトラブルにつながることもあります。
本記事では、金融システムとは何か、どんな機能が求められるのか、外注する際の進め方や注意点をわかりやすく整理しました。
銀行・証券・保険・クレジット・フィンテックなど幅広い金融領域に対応した知識をまとめ、プロジェクト担当者が押さえておくべきポイントを実務的に解説します。
目次
金融システムとは
金融システムとは、銀行・証券・保険・クレジット・フィンテック企業などの業務を支えるITシステムの総称です。日々の口座管理、送金、融資、取引管理、リスク管理、本人確認などを安全かつ正確に処理し、個人や企業の経済活動を支えます。社会インフラとしての性格を持つため、障害発生時の影響も大きく、非常に高い信頼性と安全性が求められます。
高信頼性・高可用性が求められる(システム停止は重大事故)
金融取引は24時間365日稼働が前提であり、わずかなシステム停止でも社会全体に影響を与えます。ATM停止や証券取引の遅延は、生活者や市場に直接的な損失をもたらす可能性があります。そのため、金融システムではシステム設計段階から信頼性を確保するアーキテクチャが必須です。外注で開発する場合は、これらの要件を開発会社に明確に伝え、確実に実装できるかを確認することが重要です。
具体的には以下のような対策が求められます。
- 冗長化構成(アクティブ・スタンバイ、クラスタリング)
- 障害時の自動フェイルオーバー
- 可用性のSLA遵守(例:99.99%など)
- データ整合性を損なわない仕組みの設計
大量トランザクションの高速処理が必要
銀行や大規模決済サービスでは、1日あたり数千万〜数億件のトランザクション処理が求められることがあります。証券取引においては、相場変動の瞬間など特定のタイミングで、秒間数万〜数十万件のリクエストが発生することもあります。外注で開発する場合は、こうした大量処理に対応可能な技術や設計経験があるかを確認することが重要です。
具体策として、以下のような高度な技術が必要です。
- スケールアウト可能なアーキテクチャ設計
- キャッシュ戦略や非同期処理によるパフォーマンス最適化
- ロック制御や整合性管理によるデータ精度の確保
こうした設計により、大量のトランザクションでも高速かつ安全に処理できる金融システムが実現されます。
不正対策や暗号化など最高レベルのセキュリティ要件
金融機関は「狙われる側」であり、金融システムでは攻撃防止だけでなく、異常検知や内部不正防止など多層的な防御が不可欠です。外注で開発する場合は、これらの高度なセキュリティ要件を確実に実装できるかを事前に確認することが重要です。
具体的な要件は以下の通りです。
- 通信およびデータベース暗号化(TLS/SSL、TDEなど)
- 不正検知(Fraud Detection)による異常取引のリアルタイム監視
- WAF・IDS/IPSによるネットワーク防御
- 二要素認証・多要素認証の導入
- 厳格なアクセス権限管理と操作ログ監査
法規制や金融庁ガイドラインへの準拠が必須
日本の金融システムは、法令や金融庁ガイドラインへの準拠が必須です。違反すると、業務停止命令や行政処分につながる可能性があります。外注で開発する場合は、開発会社がこれらの規制に対応できるか、事前に確認しておくことが重要です。
主な規制や基準には以下があります。
- FISC安全対策基準
- 金融庁ガイドライン
- 個人情報保護法(APPI)
- 資金決済法
- 犯罪収益移転防止法(AML・KYC)
これにより、外注開発でも法規制やガイドラインへの準拠を担保することができます。
長期間使われるため拡張性・保守性が重要
金融システムは、10年〜20年単位で運用されることも珍しくありません。
長期運用では、以下の課題が生じやすくなります。
- 技術老朽化(レガシー化)
- 特定言語・技術者の不足
- 過度なブラックボックス化によるメンテナンス困難
そのため、モダナイズやAPI化などのオープン化を前提に設計することが重要です。一般企業システムより高度な開発力が求められるため、金融システムに強い外注先に委託するケースが多く見られます。
金融システムの主な種類
金融システムは、その用途や業務の領域によって種類が異なります。開発を外注する場合も、まずどのシステムを作るのかを整理しておくことが重要です。代表的な種類と外注時のポイントは以下の6つです。
1. 勘定系システム
口座の入出金や融資残高管理など、金融機関の中核を担うシステムです。オンライン処理とオフライン処理の両方があり、高可用性やデータ整合性が必須。外注する場合は、これらの要件を明確に伝えることが重要です。
2. 営業店システム
銀行窓口で使われる端末やキャッシャー、通帳プリンタなどの物理システムです。外注する場合は、ソフトウェアとハードウェアの連携や操作性を要件として整理しておく必要があります。
3. 注文管理システム(OMS)
株式やFXなどの取引注文を受け付け、処理するシステムです。外注時は、注文の正確な処理やパフォーマンス管理など、金融特有の業務知識を持つ開発会社を選ぶことがポイントです。
4. 対外接続システム
クレジットカード会社や公共料金機関など、外部サービスと接続するシステムです。外注開発では、外部との接続仕様や障害時のリカバリ方法をしっかり確認しましょう。
5. オンライン決済システム
ECサイトなどでのクレジットカード決済、銀行振込、電子マネー決済を扱うシステムです。外注する場合は、セキュリティや決済フローの正確性を要件に含めることが大切です。
6. 暗号資産(仮想通貨)取引システム
ビットコインやイーサリアムなどの取引を行うシステムです。サイバー攻撃に対するセキュリティが特に重要で、外注先の技術力やセキュリティ対策能力を必ず確認する必要があります。
一般企業でも役立つ金融システムはある?
金融システムは金融業界向けが中心ですが、業務によっては一般企業でも活用できます。外注で開発することで、専門知識やセキュリティ要件を満たしつつ導入可能です。
- 勘定系システム:経理や会計業務の効率化に活用可能。外注で導入すれば、高い信頼性を確保しながら業務を自動化できます。
- オンライン決済システム:ECやサービス販売で必須。外注開発で多様な決済手段を安全に実装できます。
金融システムは必ずしも金融業界に限定されるものではありません。外注を活用することで、専門的な知識や技術が必要なシステムも、一般企業で効率的に活用できるようになります。
金融システムに必要な主な機能
金融システムは、多岐にわたる業務を連携して処理するITシステムであり、単一のシステムで完結することはほとんどありません。銀行・証券・保険・決済など、さまざまな業務が密接に結びつきながら、安全かつ正確にトランザクションを処理します。
外注で開発する場合は、どの機能を優先するかを整理し、開発会社に明確に伝えることが成功の鍵です。
以下に代表的な機能をまとめます。
口座管理・顧客情報管理(KYC)
金融業務の基盤となるのが口座管理システムです。
対応する主な内容:
- 顧客情報の登録・更新
- 本人確認(KYC)
- 属性情報・契約情報の管理
- 口座残高の管理
- 入出金の記録
- AML(アンチマネーロンダリング)対応
金融庁からのチェックが厳しい領域であり、データの正確性、監査ログの完全保存、更新履歴の追跡可能性などが求められます。
送金・決済・取引処理
リアルタイムで大量の取引を処理するため、スケーラブルで強固なアーキテクチャが必要です。
- 銀行間送金(全銀システム)
- カード決済
- 即時決済(リアルタイムペイメント)
- 外部ネットワークとの連携(SWIFT、CAFISなど)
- トランザクションログの永続化
- 障害時のリカバリ処理
外部連携が複雑で、エラー処理やタイムアウト制御なども高度な要件となります。
リスク管理・不正検知システム
金融業務では不正アクセス・不正取引の防止が重要なテーマです。
不正検知(Fraud Detection)では以下が必須となります:
- AI・機械学習による異常検知
- リアルタイムの限度額チェック
- 異常な振込パターンの検出
- IPアドレス・端末情報の分析
- セッション異常検知
金融事故を未然に防ぐため、即時性と精度の両立が求められます。
レポート・帳票・監査対応
帳票出力要件は極めて多岐にわたり、以下のような要件が含まれます:
- 金融庁提出資料
- トランザクション履歴帳票
- 売上・入出金レポート
- 監査対応資料(内部監査・外部監査)
- KPI・経営レポート
保存義務期間(7〜10年)を満たしながら、改ざん防止や検索性の担保も求められます。
金融システム開発を委託する際の進め方
金融システムは要件が複雑で、利害関係者も多い領域のため、慎重なプロジェクト管理が必要です。一般的なWebシステム開発とは大きく異なるプロセス・考慮点が存在します。
目的と要件の整理
金融システム開発では、目的を明確にしないまま進めると大きな手戻りが発生します。特に金融機関内部は部署間の調整が多く、要件が曖昧なまま開発に入ると、後から大幅な仕様変更につながることが非常に多いです。
例)
- 処理速度を上げたい
- セキュリティ基準を最新化したい
- 古いレガシーシステムを置き換えたい
- 外部サービスと連携したい
- データ分析基盤を整えたい
金融特有の「規制」「データ容量」「業務フロー」も絡むため、要件定義段階に十分な時間をかけることが成功の鍵となります。
開発会社の選定と見積比較
金融システムでは以下のポイントが特に重要です:
- 銀行/証券/保険業界の開発実績
- FISC・PCI DSS ・ISO27001 などへの理解
- 高トランザクション処理のノウハウ
- 運用保守も含めた長期的なアーキテクチャ提案
- セキュリティ専門部署の有無
- 大規模プロジェクトの経験
金融領域は一般的なSIと違い「業務知識」が深く求められます。過去の成功事例・失敗事例を踏まえて提案できる企業が望ましいです。
開発〜テスト〜公開までの流れ
一般的な流れは以下です:
- 要件定義(1〜3ヶ月)
- 基本設計・詳細設計
- 開発
- 結合テスト・総合テスト
- セキュリティ診断
- 運用試験(リハーサル)
- 本番リリース
金融システムでは「テスト工程の比率が非常に高い」のが特徴で、正常系だけでなく例外系や障害系のテストも徹底的に行います。
費用相場と見積もりの見方
金融システムの費用目安
金融システムの費用は要件や規模により大きく変動しますが、参考として以下の目安があります :
- 小規模(帳票、管理画面、簡易機能):200〜600万円
- 中規模(口座管理、KYC、決済連携など):800〜3000万円
- 大規模(基幹システム、勘定系刷新など):数億〜数十億円
特に勘定系システムは巨大で、数年単位の大規模プロジェクトになります。
見積項目と工数の考え方
金融システム開発では以下が見積に含まれます:
- 要件定義・調査
- 設計(業務設計・システム設計)
- DB設計(高可用性・分散構成)
- フロント/バックエンド開発
- セキュリティ要件対応
- 外部連携API開発
- テスト(結合・負荷・障害・運用テスト)
- ドキュメント作成・教育
- 運用・保守
特にテスト工数が大きく、全体の30〜50%を占めることもあります。
費用を最適化する方法
費用を抑えるためには以下が有効です:
- レガシーシステムを段階的に置き換える
- クラウドサービス(AWS/GCP/Azure)を活用
- 汎用モジュール・外部APIを利用
- MVP(最小機能)から開発し、段階的に拡張
- 過度な独自仕様を避ける
要件を整理し、必要以上に複雑にしないことがコスト最適化につながります。
失敗しない開発会社の選び方
実績・得意領域の確認
金融領域は知識が特殊で複雑なため、実績がある会社とない会社の差が非常に大きくなります。特に、銀行や証券業務は専門用語・ルールが複雑で、開発会社の知識不足が手戻りにつながることが多い領域です。
開発体制・コミュニケーションの質
長期開発になるため、以下は必須チェック項目です:
- 週次報告が体系化されている
- 要件変更に柔軟に対応可能
- 品質管理プロセスが存在する
- ソースコードレビュー体制
- セキュリティ担当部署の有無
金融システムは監査が厳しく、プロジェクト管理能力も重要です。
契約前に確認すべきチェックポイント
契約前に必ず確認すべき内容は次の通りです:
- 要件定義の範囲
- 責任範囲(境界線)が明確か
- セキュリティ要件の遵守について明記されているか
- 障害時の対応ルール
- データ管理・バックアップ体制
- 運用保守費用・期間
これらが曖昧なまま契約すると、後からトラブルになりやすいので注意が必要です。
金融システム開発の外注ポイント
金融システムは、銀行・証券・保険などの業務を支える重要な社会インフラであり、高い信頼性やセキュリティ、長期運用を見据えた設計が求められます。外注する際には、開発会社の実績や専門知識、運用体制をしっかり確認し、信頼できるパートナーを選ぶことが成功の鍵です。
主なポイント:
- 高信頼性・高可用性・大量トランザクション対応
- 多層的なセキュリティと法規制遵守
- 外注時は実績・業務知識・運用設計・コミュニケーション力を重視
- 段階的開発やクラウド活用で費用最適化
これらのポイントを押さえて開発会社を選ぶことで、金融システムの外注プロジェクトを安全かつ効率的に進められます。
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